母であるオリエンタルアートは、2007年に種牡馬デビューしたディープインパクトと3度にわたる交配を行い受胎に失敗してしまう。
生産牧場は空胎を避ける理由から父であるステイゴールドと交配し、翌年誕生。
まさに、受胎失敗から生まれた奇跡の三冠馬である。
新馬戦は非凡な能力を見せ勝利するものの、続く芙蓉S(OP)・京王杯2歳S(G2)・ シンザン記念(G3)・きさらぎ賞(G3)と立て続けに敗戦してしまう。
その後、東日本大震災により阪神競馬場で代替開催されたスプリングステークス(G2)で重賞初制覇。いよいよ、三冠制覇に向けこれまでの調教が花を開き始めた。
皐月賞
皐月賞は、スプリングステークスと同様東京競馬場での代替開催となった。
戦前の評価はこれまでの戦績もあり、
トライアル競走勝利にも関わらず4番人気となった。
しかしレースが始まると、道中中団やや後方で折り合い良く待機、左回りのコーナーも難なくこなすと、最後の直線では馬群を割って先頭に立ち、1番人気のサダムパテックを3馬身引き離して圧勝。
クラシック最初のレースを制した。
東京優駿
東京優駿は、台風2号の影響により不良馬場での開催とななった。本馬は単勝3.0倍の1番人気に支持された。
レースでは良いスタートを決めると
作戦通り道中は中団やや後ろにつけて折り合いに専念。
直線の入り口で外から被せてきたナカヤマナイトと馬体を接触し鞍上の池添がバランスを崩すも、そこで引くことなくサダムパテックとの間にできたわずかな隙間を見逃さず一気の脚で抜け出し、2着のウインバリアシオンの追撃も振り切って、1馬身4分の3差をつけて優勝を飾った。
2008年に生まれたサラブレッド7458頭の頂点に立った。
菊花賞
菊花賞では、単勝支持率58.28%、
単勝オッズ1.4倍の圧倒的な1番人気に支持された。
レースでは、好スタートを切ると上手く内側に進路を取ったが、最初の第3コーナーで次々と他馬が外から擦っていったこともありスタンド前にかけて行きたがる気配を見せた。
しかし、池添が馬群に入れて落ち着かせながら中団好位をキープして進むと、向正面では長手綱にするほど折り合いがつき、2周目の第3コーナーから徐々に進出を開始。
最後の直線に入った所で早めに先頭に立つと、そのまま独走態勢に入り、最後方から追い込むという奇襲に出たウインバリアシオンの追撃も2馬身半差退けて、栄光のゴールを駆け抜けた。
自ら動いて早々とセーフティーリードを築き、最後は手綱を抑える余裕を見せたにもかかわらず3分2秒8という好タイムを残すという、強い競馬であった。
このレースの勝利により本馬はクラシック三冠の偉業を達成、2005年のディープインパクト以来6年ぶり史上7頭目の牡馬クラシック三冠馬に輝いた。